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【企業インタビュー】災害とは切っても切れないプラットフォームとして復興支援に取り組む【ヤフー株式会社】

東日本大震災以降、多くの企業が災害復興支援に取り組んできました。発災直後の緊急支援だけでなく、各企業の強みを活かした息の長い支援につながるよう、復興BASEでは先進企業による復興支援の取組事例をご紹介していきます。

今回は、事業領域であるIT技術を活かしながら「発災から復旧・復興フェーズまで止めないワンパッケージの支援」に取り組んでいる、ヤフー株式会社(以下、ヤフー)CSR推進室の森禎行さんにお話を伺いました。(会話文中敬称略)

森 禎行(もり さだゆき)
2011年6月ヤフー株式会社入社。「Yahoo!ニュース」、復興支援室、「エールマーケット」の企画・営業・編集などを担当。
2018年10月より災害協定を担当し、2020年からは災害支援プラットフォームの責任者も務める。防災士の資格も持つ。

 

災害時にこそ求められるプラットフォーム。情報のインフラ企業として、途切れない支援をユーザーに届けたい

――そもそもヤフーでは、なぜ災害復興支援を重点分野としているのでしょうか?企業として災害復興支援に取り組む意義をお聞かせください。

:ヤフーは「情報技術のチカラで、日本をもっと便利に。」というミッションを掲げており、日本の様々な課題解決に取り組んでいます。社内での議論やステークホルダーへのヒアリングなどを行い、プラットフォーム事業者の社会的責任として、IT技術を活用した社会課題の解決と、防災や復興支援を企業としての重点項目として設定しました。

 

――ヤフーの事業領域であるITを重点分野とするのは自然なことだと思いますが、それと並んで災害復興支援に力を入れているのは少し意外に感じます。

:ヤフーではインターネットで必要な情報を探すための検索サービスを提供していますが、私達の事業と災害には密接な関係があるんです。地震などの災害が起きると、ユーザーは災害の情報を求めて「Yahoo!ニュース」、「Yahoo!天気・災害」などへアクセスし、結果Yahoo! JAPANへのアクセス数は跳ね上がります。

そのため、「ユーザーのためにもっと役にたてることをやろう」ということで、復興支援には通常業務の一環として取り組んでいます。24時間365日、ユーザーに情報を届ける「情報のインフラ企業」としての責任感は、社員1人1人がもっていると思います。

全国各地のユーザーのため、緊急期・復旧期にとどまらず、平時から発災時、復興期まで途切れることのない情報提供や支援をお届けしたいと考えています。

 

災害復興支援に取り組む度に、支援の幅が広がった

――ヤフーが企業として復興支援に取り組むきっかけとなった災害はあるのでしょうか?

:メイン事業である情報提供そのものが災害対応にもつながっているので、私達の事業は災害対応とは切っても切れない関係にあります。一番最初が何かというのは難しいですね。2020年12月に発足した、ワンストップで発災から復興期までを支援する「災害支援プラットフォーム」には6つの支援メニューがあるのですが、その中で言うと、「Yahoo!ネット募金」は2004年から、「Yahoo!基金」は2006年から取り組んでいますし、「Yahoo!ボランティア」はその2つより前からあるサービスです。

災害支援プラットフォーム

:2011年の東日本大震災をきっかけとして生まれたのが、「災害協定」「エールマーケット」ですね。さらに2016年、ヤフーのチームとして現地入りして熊本地震の支援を行ったことなどをきっかけに、緊急災害対応アライアンス「SEMA」という取り組みを開始しました。 

現地ではこれまでの災害の教訓を活かして物資や人が送られてきていたものの、車中泊など避難所以外にも多くの避難者がいました。そういった方々も含め、必要としている人に適切な量の物資を届けるための仕組みが不可欠だと感じました。

「SEMA」は、平時から加盟各社が持つ物資・サービスなどをリストとして集約しておき、大規模な自然災害が起こったときには、現地のニーズに基づいて、支援物資を必要な量だけ迅速に届けるための仕組みです。物資での支援という点では、ヤフー単独でできることは少ないので、多くの企業と連携しながら復興支援に取り組もうとしています。

 

――他の支援メニューについても、どのようなサービスなのかご説明いただけますか?

:「Yahoo!ボランティア」では、全国各地のボランティア募集情報を検索することができます。「Yahoo!ネット募金」は、オンラインで様々なプロジェクトに手軽に募金ができるサービスです。「Yahoo!基金」では、「IT利活用による社会の発展および課題解決」または「自然災害や感染症に対する支援」のために活動を行っている団体への助成や、発災時の速やかな義援金・支援金の寄付等を行っています。

そして、住民が「いつでもどこからでも」災害関連情報にアクセスできるようにするため、全国の自治体と結んでいるのが災害協定です。発災時に自治体のサーバーにアクセスが集中して障害が起こるのを防ぐために、キャッシュサイトを使えるようにしたり、「Yahoo!防災速報」や「Yahoo! JAPAN」アプリで自治体からの緊急情報を発信したりできます。

エールマーケット」は、東日本大震災の被災地支援のため、2011年12月にスタートした「復興デパートメント」の発展形です。現在は東北に限らず、全国のこだわり商品を取り扱っており、地域や環境にやさしい商品を「買って応援」することができます。

愛媛県宇和島市にて“平成30年7月豪雨災害”の復興支援を実施した際のエールマーケット

 

――6つのサービスを組み合わせたものが「災害支援プラットフォーム」なんですね。必要なときには無料で利用することができるのでしょうか?

:個別のサービスごとに条件があるため、対応できること・できないことはありますが、基本的には無料です。

災害協定は1,200以上の自治体と締結しており、全国規模の支援ができることは大きな強みだと思います。個人で利用できるサービスもありますが、発災時に中心となって災害対応にあたるのは自治体であるため、自治体をハブとした連携を主としています。

今後は官民連携の橋渡しができるような役割を担っていければと考えています。

 

災害関連情報は、住民に届いて初めて意味がある

――災害協定の人口カバー率は約9割に達しています。今でこそ多くの自治体と協定を結んでいますが、当初はどのように締結自治体を増やしていったのでしょうか?

:各自治体に足を運んだり、電話やメールでやりとりしたりといったことを地道に続けてきた結果ですね。2020年はコロナ禍のため対面での訪問はなかなかできていませんが、沖縄から北海道まで社員2人が営業担当として折衝を行っています。

災害協定の取組は2011年から始まりましたが、災害の増加と共にここ数年は協定を締結する自治体も急増しています。2018年時点では501自治体でしたから、わずか2年で倍以上に増えました。自治体の理解が進み、温度感も上がっていると感じます。

これまでも自治体の中で情報の重要性は認識されていましたが、住民にどう伝えるかも大切です。命を守るための情報ですから、住民に届いて初めて情報伝達の意味があります。情報提供の仕方にも変化がありました。

当初はブログでお知らせしていましたが、2016年からは「Yahoo!防災速報」というアプリで「自治体からの緊急情報」の配信ができるようになりました。スマホアプリだとパソコンのようにいちいち立ち上げる必要がないので、より確実に災害情報をユーザーの元に届けることができます。

2020年からはYahoo!防災速報アプリだけでなく、Yahoo! JAPANアプリでも災害情報を配信するようになり、防災意識がそこまで高くないユーザーにも、情報を届けやすくなりました。

また、最近は避難につなげるため事前の情報提供が重視されるようになり、移動が困難な夜ではなく、日中に早めの情報発信がなされています。みなさんにアプリ等を活用してもらうことで、信頼性のあるローカルな情報を確実に届け、命を守る行動を取ってほしいと思っています。

元々は水害・台風、地震などの情報発信が中心でしたが、災害の種類も増えました。新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行を受け、自然災害だけではなく感染症も災害の1つとして位置づけています。自治体からも多くの情報発信があり、新型コロナ関連情報だけでも、300の自治体から約4,500件の発信がありました。

今後も日本で一番災害対応ができる企業を目指して、自治体や他の民間企業等、必要なところと連携していければと考えています。

「Yahoo!防災速報」アプリの通知例

 

元に戻すだけではなく、よりよい社会を目指して

――森さんご自身は、どのような思いで災害復興支援に携わっているのでしょうか?

:災害復興支援と関わる直接的なきっかけは、東日本大震災です。2011年3月から4月にかけて、新聞記者として福島県の被災地を回りました。報道の意義は大きいのですが、継続して関わるという面ではやはり難しい。被災地にいる方には発災後もずっと生活があるわけですから、継続した取組や仕組みづくりに関わりたいという思いが出てきました。そんな、企業を越えた継続的な支援の仕組みづくりに関われるのが今の仕事だと思っています。

災害復興支援に関わる担当者は異動もありますが、人が変わるからこそ、それぞれ違った視点をもって取組を続けていければいいのではないでしょうか。

2014年、福島県の富岡駅(撮影:森さん)

 

――最後に、今後の展望を教えてください。

:日本は災害が多い国です。大きな地震や毎年のように発生する水害など、今後も災害は確実に起こります。それに対応していくのは当然ですが、ただ元に戻すだけではなく、災害があったとしても今まで以上にいい社会にしていくのが復興だと思っています。多くの企業とともに、そういった形の復興支援を目指していきたいですね。

 

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関連リンク

災害支援プラットフォームお問い合わせフォーム:
https://form-business.yahoo.co.jp/claris/enqueteForm?inquiry_type=saigai-support
Yahoo!基金:https://kikin.yahoo.co.jp/
Yahoo!ネット募金:https://donation.yahoo.co.jp/
エールマーケット:https://yellmarket.yahoo.co.jp/
Yahoo!ボランティア:https://volunteer.yahoo.co.jp/
災害協定:https://saigai.yahoo.co.jp/agreement/
SEMA:https://sema.yahoo.co.jp/

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