【団体紹介】一般社団法人Teco
今回ご紹介する団体は、福島県いわき市平窪地区で活動している一般社団法人Teco(以下、Teco)です。
Tecoが活動する平窪地区(上平窪・中平窪・下平窪)の人口は6,945人(2020年4月1日時点)でこれはいわき市の人口337,765人の約2%に当たります。2019年10月に発生した台風19号により、いわき市を流れる夏井川等が決壊。いわき市全体で、死者13人(うち災害関連死4人)、負傷者31人、住家被害7,336世帯(うち約7割が半壊以上)の被害が出ました。
Tecoは元々、東日本大震災により発災した福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所事故に伴い、避難指示等の対象地域となった福島県内12市町村の被災住民と受入れ住民の交流・協力性の構築を目指し活動していましたが、台風19号の被災以降、より地域のコミュニティ支援に力を入れて活動を行っています。
設立経緯とメンバー紹介
Tecoは2019年5月に法人として設立されました。設立以前は、Tecoのメンバー3名が所属していた前職NPOにて、東日本大震災による原発避難者が住まう復興公営住宅における自治会形成支援・コミュニティ形成支援事業を県から受託し推進していました。
設立後は、市内の復興支援事業を継続していましたが、2019年10月に台風19号により被災。Tecoの事務所もある平窪地区も大きく被災する中、ピースボート災害支援センター等と連携し、被災者の支援を実施していました。
現在では、平窪地区に設置したコミュニティスペースにおいて、住民が交流できるサロンの運営やイベントの実施、復興公営住宅の支援などを行っています。
■小沼さん(代表理事、右から2番目) 生まれも育ちも福島県いわき市。高校留学後アメリカに留学。帰国後、アルバイト生活の傍ら海外を一人旅し様々な価値観に触れる。また学生時代からボランティアが身近にあり様々な団体に属し誰もが暮らしやすい社会について考える。結婚出産を機に持続可能な生活を目指し、現在は森の中で薪でお風呂を沸かす生活。前職NPOで復興支援を行う中で、コミュニティの必要性を改めて感じ、誰もが住みやすい町、誰もが生き生き暮らすことができる町を目指しTecoを立ち上げる。 |
■鈴木さん(経理、1番左) 神奈川県川崎生まれ。30年前、母親の地元であるいわき市に移り住む。 12年前に家族で平窪に引っ越し、2人の子どもを育てながら、総合型地域スポーツクラブのNPOに計5年勤務。前職NPOで復興支援に携わり、その経験を生かしTecoを立ち上げた。自宅が水害に遭い、自らが大変な中でも常に周りを気遣い、人一倍明るい性格で来た人を元気にしている。また難しい経理もそつなくこなす。 |
■高橋さん(1番右) 宮城県仙台市育ち。結婚を機に17年前にいわき市に移住。現在は平窪在住。介護福祉士を持ち通所型のリハビリ施設で働いていた。妊娠出産を機に仕事を辞め、主婦業に専念。 水害に遭い、小さな子ども2人を抱えて約9か月間の在宅避難生活を余儀なくされた。てこてこサロンには当初住民の一人として参加していたが、ママたちの中でもリーダー的な存在で高齢者に優しく接する姿に惹かれ、Tecoスタッフにスカウト。現在はサロンスタッフとして住民さんを癒している。 |
■神長さん(左から2番目) 生まれも育ちも福島県いわき市。小学6年生からダンス教室に通い、数々のステージで賞を取るほどの腕前。今はその特技を生かしサロンでは子どもたちにダンスを教えている。とても視野が広く20歳には思えぬ程しっかり者で、老若男女に愛されるTecoの看板娘。 |
「できる人が、できることを」地域に寄り添った活動
メインの活動として行っているのがサロン運営です。平日は毎日9:00-16:00でサロン活動を行っています。一時期、新型コロナの影響により休止していましたが、現在は感染症対策を行いながら再開し、薬膳お茶会や体操教室、ダンス教室やママサークルなど多岐に渡る活動を行っており、高齢者から子育て世代、子どもたちなど、年齢を問わず様々な人がサロンに来ています。
サロンを運営することで、地域の被災者の心の拠り所となり、孤立防止や交流の場を生み出しており、住民に寄り添った活動を続けています。コロナ禍で集まることが難しい時期もありましたが、高齢者の方向けに落語のCDを作成し配布したり、水害やその復興活動についてまとめた冊子(別記事:台風19号から1年たった今、被災を風化しない~てこてこ発行!~)を発行したりと、と、工夫をこらしながら活動を継続しています。
次回インタビュー記事では代表の小沼さんに団体としての思いや活動についてお伺いします!