被災者の心に寄り添う継続的支援。「台風災害復興支援団体サポートプログラム事業レポート」を公開
一般社団法人RCFでは、東日本大震災より培ってきた復興支援のノウハウを活用し、地震や風水害の被災地域において今後中核的に復興を担うことを目指す団体に対し、助成を行うとともに、被災者支援や事業者支援等の生活再建支援の手法を共有し、地域の復興を支援するプログラムを実施しています。
このたび、2019年の台風15号・19号、10月25日大雨の被災地域を対象とした「台風災害復興支援団体サポートプログラム(以下、「本事業」)」において実施した、一般社団法人Teco(福島県いわき市)(以下、「Teco」)のプログラムを振り返る事業レポートを公開しました。
事業レポートの全文はこちら(PDF)
災害復興における課題
災害における復興支援は行政などが主体となったハード面の支援(復興公営住宅建設など)が中心で、ばらばらになってしまった地域コミュニティの再建や孤独・傷を抱えた被災者の心のケア、地場産業の再建といったソフト面の支援が不足しがちです。
また、資金的な支援においても行政の支援はハードの復興が中心で、被災者自身にたいする支援が少ない傾向にあります。
そのため、ソフト中心の地域や被災者の復興支援を民間主導で実施していく必要があります。さらに、こうした地域のコミュニティ再建や産業振興は短期的な実現が難しく、中長期的に地域に寄り添うことができる地域団体の存在がとても重要になります。
本事業の内容:一般社団法人Tecoの取り組み
Tecoは本事業による支援を受けながら、①コミュニティサロンの運営、②サロンを拠点としたイベントの開催、③復興支援団体のネットワークを形成する団体連携の3つを中心として、地域とのつながりや生きがいを感じる生活が送れるコミュニティの形成を目指して活動を行いました。
Tecoの取り組みの成果とポイント
Tecoの運営するコミュニティスペース「てこてこ」の利用者を対象としたアンケートでは、「Tecoの活動により地域との繋がりを感じる機会が増えた」と回答した方は活動を続けるなかで全体の85%に達しました。
さらに、利用者からは「水害後話せない日々が続いたが、話せる機会があってよかった。心が軽くなった」「私達を気にかけてくれることが嬉しい」などの声をいただいており、「てこてこ」が地域との繋がりを失ってしまった被災者にとっての拠り所となっていたことがわかります。
Tecoが活動を始めてから1年6ヶ月で取組みが地域に受け入れられ、地域の復興につながったのには、以下の3つのポイントがあると考えています。
①寄り添う姿勢
常に住民に寄り添い、住民にとって安心できる居場所を安定的に提供し、こころの繋がりを感じながら過ごせるコミュニティを作り上げることができた。
②被災住民さんの運営への巻き込み
住民が支援を受けるだけでなく、主体的に活動できるように巻き込み、エンパワーメントを実現することができた。
③メディアとの連携
メディアとの関係構築から、地域内の関心や団体への信頼性を高める好循環をつくることができた。
本事業の成果
災害発生後のコミュニティの再建には、中長期にわたって地域に寄り添い続けられる「地域団体」が担っていくことが重要です。休眠預金を活用することにより、資金の確保が難しい復興期において地域団体の活動をサポートし、またRCFからも伴走支援をすることで、主に「革新性:復興の担い手の創出」「インパクト:コミュニティの再構築」「波及効果:任地向上と新たな事業展開」の3つの成果につながったと考えています。
活動を推進したTecoに心からの敬意を表するとともに、今後の持続的な復興を応援しています。
事業レポートの全文はこちら(PDF)
参考)休眠預金等活用事業について
本事業は「休眠預金等活用事業」として、指定活用団体であるJANPIAからRCFが助成を受け、RCFが資金分配団体として災害支援事業を行う実行団体に対し助成を実施したものです。